HAPPY  TIME  (4日前)
もうすぐ、自分の誕生日がやってくる。
子供の頃、誕生日には何とか都合をつけて帰ってきてくれていた両親も、ここ数年は忙しくて誕生日に合わせて帰ってくる事はない。
流石に、それを寂しがるほど子供ではないけれど・・・やはり、少しは寂しいという気持ちはあった。
そんなこともあって、自分の誕生日を楽しみにする・・・という事はあまりない。
しかし、今年は少し違った。
今年は、香穂子が一緒に祝ってくれる事になっているからだ。
香穂子から誕生日の話が出た時にその日は家族が誰もいないと話したところ「それじゃ、一緒にお祝いしようよ!!」と言ってくれた。

「私がご馳走作ってあげるからね」とにっこり微笑んでくれた香穂子に、とても嬉しい気持ちになった。
そんなこともあり、月森は久しぶりに誕生日を楽しみに思っていた。
そして、誕生日まであと四日に迫った日の朝――


「え、月森君のご両親帰ってくるの?」
いつものように一緒に登校しながら、香穂子が驚いたように声をあげた。
昨日、家に帰り郵便物をチェックしたところ、母ミサからの手紙が来ていたのだ。
その内容は、誕生日当日に海外から帰ってくるというものだった。
ちょうどスケジュールが空いて、一時帰国が出来る事になったらしい。
国内での長期出張中だった父もそれに合わせて戻ってくるらしく、今度の誕生日には久しぶりに両親が揃うという事になった。
「良かったね。ご両親、お祝いしに戻ってきてくれるんだ」
自分の事のように嬉しそうな顔をする香穂子だったが、ふとその表情が曇った。
「と言う事は・・・私はお邪魔したら悪いよね?折角、親子水いらずでお祝いできるんだし」
残念そうな表情でそう言う香穂子。
香穂子としては一緒に誕生日をお祝いしたかったけど、やはり親子水いらずにお邪魔するのは悪い気がするから仕方ない。
プレゼントを渡してお祝いするだけで我慢するしかないだろう。
そんな香穂子に、月森はフッと笑みを向けた。
「実は、昨日手紙を見た時点で母さんに電話したんだ。香穂子の事も呼んでいいかって・・・もちろん、母さんはOKしてくれたから。父さんには母さんから話しておくと言っていた」
月森としても、香穂子と誕生日を祝うのを楽しみにしていたのだ。せっかくなら香穂子も一緒に祝って欲しいと思い、母へ電話したのだ。
「ほんとに!?いいの?」
月森の言葉に、パァッと香穂子の顔が明るくなる。
「ああ。俺も香穂子に祝って欲しいから・・・来てくれるだろうか?」
「もちろんだよっ!」
香穂子が満面の笑みを浮かべ、それにつられるように月森の顔にも笑みが浮かぶ。
「う〜・・・でも、月森君のご両親に会うの緊張するな〜」
「そんなに緊張する事はないから。母も、香穂子に会うのを楽しみにしているみたいだ」
「そ、そういって貰えると有難いけど・・・」
う〜ん・・・となにやら考え込んでしまう香穂子に、クスッと笑う月森。
「そう考え込まなくて平気だから。ほら、あんまりのんびりしてると遅刻するぞ?」
「う、うん・・・そうだね」
香穂子がコクンと頷き、二人はやや速度を速めて学校への道を並んで歩いていった。


今年の誕生日──
それは、月森にとって大切な両親と大切な恋人に一緒に祝ってもらえる、思い出深い一日になりそうだ。



管理人  「月森蓮生誕祭2006」に投稿したカウントダウン創作です。この設定で当日の話もあります。
月森    そちらの方も読んで貰えると嬉しい。
管理人   両親・香穂ちゃんと一緒にお誕生日を祝う幸せな月森君がいます〜〜
月森    楽しみ・・・に思う(ポツリ)
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