〜HAPPY WAKE UP〜
「んっ…」
(あ、もう…朝なんだ…)
寝起きでまだ幾分頭をぼーっとなった状態で、香穂子はゆっくり目を開けた。
夜が明け、太陽の日差しが窓のカーテンの隙間から微かに差し込み部屋を明るくしている。
明け方…と言うほど早くはないが、今日は休日なのでまだゆっくり寝ていられる時間だろう。
(今何時くらいだろう……)
時間を確かめようと、時計を探して部屋を見渡した時香穂子はようやく気が付いた――ここが、自分の部屋では無いことを。そして、自分の隣で眠っている人物に。
(〜〜っ!!)
目の前にあったのは、穏やかに眠っている恋人の寝顔。
そう…ここは香穂子の部屋ではなく、恋人である月森の部屋で、しかも、今の香穂子は月森にしっかりと抱き締められた状態なのだ。
(なっ…なんでっ…え〜っ?)
目の前の状況に一瞬パニックになる香穂子だが、すぐに昨日の事を思い出す。
(…そうだ…私、昨日月森君と……)
状況を理解した途端、顔を赤らめる香穂子。
昨日、ヴァイオリンの練習の為に月森の家を訪れた香穂子は、初めて彼と結ばれたのだ。《もちろん、きちんとヴァイオリンの練習もしたが…》
あの時は、熱に浮かされたように意識がボンヤリしていたのに、今ははっきり昨夜の行為が思い出されてしまい、恥ずかしさに耳まで真っ赤にさせてしまう。
(う、うわぁ〜…こんな時どんな顔すればっ…)
ドギマギしながら、香穂子は再び月森の方へと視線を向けた。
眠っている月森は、全く起きる気配がない。そういえば、朝は弱いと言っていた気がする。
「やっぱり綺麗な顔してるなぁ…」
さっきまであたふたしていたのをすっかり忘れて、香穂子は月森の寝顔を見つめポツリとそんな感想をもらす。
相変わらずの端正な面立ちは変わらないが、こうして見ると寝顔は若干幼く見えような気がする。
普段大人びた表情が多いだけに、その寝顔は何やら新鮮に感じられ思わず笑みがもれた。
(初めて会った時は、正直「関わりたくないタイプ」だと思ってたのにね…)
まさに最悪だった月森の第一印象。
こうして恋人同士になるなんて夢にも思わなかった。
それでも、彼の奏でるヴァイオリンの音色に心惹かれ…惹き付けられて。
そして、親しくなるにつれ分かってきた月森の音楽への思いと、無器用な優しさに、気付けば彼の音色だけでなく彼自身に惹かれていって、それは恋心へと変わっていったのだ。
コンクールで総合優勝できたのも、少しでも月森に…あの音色に近付きたいと思い必死に頑張った結果で。
少しずつ自分を認めてもらえるのが嬉しくて、誉められるたびにさらに頑張ろうと思った。
だから、あの日「愛の挨拶」を聞いて月森が屋上へ来てくれて、想いが通じた時は本当に嬉しかったのだ。
「…大好きだよ……蓮…くん」
昨夜「名前で呼んでほしい」と言われたのを思い出しながら、香穂子はまだ眠る恋人へそっと想いを告げる。
相変わらず、月森は香穂子を抱きしめたまま穏やかに眠ったままだ。
その様子にクスッと軽い笑みを浮かべると、香穂子は自分を包む温もりを感じながら再び眠りのなかへと落ちて行った…



管理人:自分で書いてて非常にこっぱずかしいです、はい・・・(汗)
     この後、月森君視点での続きがあります。頑張って書き上げますので、よかったら続きも読んで
     やってください。 
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