INNOCENCE GIRL
  ──君の願い・・・叶えてあげるよ──
目の前の少女に向かって、少年は魅惑的な笑みでそうささやいた。
「ほんと・・に?ほんとに、お願い叶えてくれるの?」
「ああ・・・会いたいんだろう?───に」
少年の言葉に少女は素直に頷いた。それを見て満足げな笑みを浮かべ、少年は少女の頬にそっと触れる。
「・・・その代わり、君の『力』を使わせてもらうよ。君の願いと・・・・僕の願いの為にね」
不思議そうな顔で見つめる少女に、少年はクスクスと楽しそうに笑ってみせた・・・・



新宇宙の女王を決めるための女王試験が開始されて早100日が過ぎ、女王候補である2人の少女は、日々新宇宙の育成にがんばっている。
守護聖をはじめ教官・協力者達の力で新宇宙は徐々に惑星が増え、天才少女と名高いレイチェルはもちろんのこと、最初は心もとなかったアンジェリークも今やレイチェルに引けをとらない立派な女王候補だ。
こうして順調に試験は進み、聖地にはごくごく平和な日々が流れていた。その証拠に・・・
「さぁさぁ、見てってや!日用雑貨からレアな掘り出し物まで、なんでも揃っとるで〜」
今日も元気に商いにいそしむ商人の声が庭園に響いている。
その声につられ、何人かが店の前に集まってきた。オリヴィエにルヴァである。
「やっほ〜〜☆なんかいいアクセサリー入った〜?」
「はいなっ!もう、オリヴィエさまの為にとっておきのもん仕入れときましたで〜」
「きゃ〜〜〜ほんとに!?見せて見せて〜〜☆」
「どうぞどうぞ〜〜♪あ、そうそう!ルヴァ様に頼まれとった本もちょうど入荷しましたで」
「ほんとですか?いや〜、ありがとうございます〜」
商人の用意したアクセサリーを手に取り、品定めに夢中になるオリヴィエ。一方のルヴァは、いつも温和な笑顔を浮かべている顔をさらにほころばせて本を受け取っている。
「ほんと、この店ができたおかげで退屈な聖地にも楽しみが増えてうれしいよv」
「いやぁ〜、そういってもらえると、こっちとしても商売のやりがいがあるっちゅうもんですわ。・・・・けど、オリヴィエ様?そない言うてくれはるんなら、やたら値切ろうとするんは勘弁して欲しいんですけど・・・・・」
「やぁ〜〜ね、買い物は値切ることが一番楽しいんだからさっ☆」
「そんな殺生な〜〜〜(T△T)」
あっけらかんと答えるオリヴィエに商人が悲鳴をあげた時、店に近づいてくる人物に気づきルヴァが声をかけた。
「おや?ゼフェル、貴方も買い物ですか??」
「ま・・・まぁな・・」
声をかけられた人物──ゼフェルは、2人に近づきながらなにやら気まずそうな表情を浮かべた。それに目ざとく気づいたオリヴィエが、いつもの調子でからかうような口調で話しかける。
「なぁ〜に?そのいやそうな顔は・・・ワタシ達に見られたらまずい物でも買うつもりだったのかな〜〜??」
「はぁ?べ、別にそんなんじゃね〜よ!」
「ふ〜〜ん、そう・・・てっきりアンジェちゃんへのプレゼントを買いにきたのかと思ったんだけどな〜〜」
「・・・・っ!」
オリヴィエの言葉に、みるみる真っ赤になるゼフェル。
ゼフェルが女王候補の一人であるアンジェリークに思いを寄せていることは、守護聖や教官・協力者のほとんどが知っていることだ。(ジュリアスあたりは知らないかもしれない。知っていればおそらく黙っていないだろうから・・・)
そして、アンジェリークもゼフェルに好意を持っていることも・・・そう、2人はまだお互いの気持ちは告げていないものの、相思相愛(笑)なのである。守護聖や教官・協力者たちは、この2人の恋の行方をほほえましい気持ちで、もしくは複雑な気持ちで見守っていた。
「ほうほう・・・それやったら、ちょうどいいもんがありまっせ〜〜♪ゼフェル様、よかったらいかかです?」
「ち・・・違うって言ってんだろ!勝手なこといってんじゃねーよっ!!」
言葉と裏腹に、その態度は「はい、そうです」といっている様なものだ。そんなゼフェルをおかしそうに見るオリヴィエ&商人と、にこにこしながら見ているルヴァ。
それが面白くないのか、ゼフェルは「もういいっ!」というとくるっと回れ右をしてもときた方向へ歩き出してしまった。
「ゼフェル、買い物はいいんですか〜〜??」
「だから〜!いいって言った・・・・」
おっとり口調のルヴァに、いつものごとく怒鳴りかけたゼフェルだが、次の瞬間はっとしたようにその動きが止まった。
(なんだ・・・?この感じは一体・・・)
自分がいつも身近に感じている「力」と同じモノを感じ、ゼフェルはそれを感じた方向へ視線を移した。
オリヴィエ・ルヴァも同じく感じ取ったのだろう、ゼフェルと同じ方向へ視線を向ける。
すると、その視線の先・・・・すぐそばの茂みの中からまばゆい光が発せられたのだ。
「な??」
茂みの奥を照らすまばゆいその光は、やがてゆっくりと小さくなり・・・消えてしまった。光の現れたその場所を、4人はしばらく呆然と見つめている。
「な・・・なんだ?今の・・・」
「さ・・さぁ?」
「なになに??一体なんなのさ〜〜?」
「・・・・え、え〜〜と・・・とにかく、様子をみてこないと・・いけませんよね?」
ルヴァの言葉に、残りの3人も頷く。
4人は茂みを掻き分け、光が現れた辺りを覗き込んだ。すると・・・・
「お・・・・女の子やないか!?」
そこには、一人の少女が横たわっていたのだ。
さらさらの長い銀の髪、人形のように白い肌・・・年はおそらく13・4歳位であろう、まだあどけない顔立ちの少女。
スヤスヤと眠っているその様子は、まるでのんびり昼寝でもしているかのように穏やかだ。
「い・・一体なんなんや?この嬢ちゃん・・・」
「さぁ・・・?少なくとも、どっかの不良少年みたいに庭園でのんびりお昼寝してた・・・って訳じゃなさそうだけど・・・聖地じゃ見かけない顔だし」
「あの光は・・・この子が原因・・・なんでしょうか?」
「そうとしか思えないよ。だって・・・あの時感じた「あれ」は・・・」
「あれ・・・・??」
オリヴィエの言葉に、商人が怪訝な顔をするが、オリヴィエもルヴァも神妙な顔つきで黙ってしまっている。
「・にかく、このままここで寝かせとくわけに行かないでしょ。とりあえず・・・ルヴァ、あんたの館にこの子運ぼう。話はその後だね。」
「ええ・・・・それがいいですね」
「あ、ほんなら俺がこの嬢ちゃん運びますわ」
「ありがとうございます。では、お願いしますね・・・・ゼフェル、貴方も一緒に・・・・ゼフェル?」
振り返ると、ゼフェルは茫然自失と言った感じで立ち尽くしていて、ルヴァの呼びかけが聞こえていない様だった。
「ちょっとゼフェル??どうしたのさ一体・・・」
「べ・・・別に、何でも・・ねーよ」
「・・・・まぁ、とにかくちゃんとあんたもルヴァの館についてくる事、わかった?」
「あ、ああ・・・」
明らかに動揺しているのがわかるのだが、今は少女を運ぶのが先決だと判断したオリヴィエは、深く追求はしなかった。
オリヴィエ・ルヴァの後ろを、少女を抱きかかえた商人が続き、ルヴァの館へと向かい歩きはじめる。
3人の後姿を見つめながら、ゼフェルは頭の中で何度も同じ言葉を繰り返していた。
(そんなバカな・・・アイツのはずありえね〜・・そんな・・・・)
「セシ・・ル?」
思わず漏らした声にはっ、と我に返ると、ゼフェルは慌ててルヴァ達のあとを追いかけていった・・・



管理人  さぁ、アンジェ連載第2弾!!
「お子様〜」との同時開始ですが、ただでさえ筆の遅い管理人が掛け持ち連載できるのか!?
ゼフェル  自分で言ってりゃ世話ねぇ〜っての・・・・・
管理人  ほっとけっ!とにかく・・・・突如現れた少女の正体は!?そしてゼフェルとの気になる関係は!?
すべては徐々にかされていきます。
      頑張って書いていきますので、見捨てないで待っててくださいね。
ゼフェル  いつ完結するかわかんねぇ〜けど、気長に待っててくれよな
管理人  ・・・・・・(汗)が、頑張ります・・・・・・
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