興味があるのなら

「その曲なんていう曲?すごい綺麗な曲だね」

いつものように、放課後の練習室で月森と練習をしていた香穂子は、月森の奏でた曲を聞きそんな言葉を口にした。

コンクールを通して通して音楽の知識は大分深まってきたけれど、まだまだ知らない事や聞いた事のない曲が多いというのが現実で。

「ああ、この曲は──」

そのため、月森が答えてくれたその曲名を聞いても香穂子には全く聞き覚えがなかった。

(う〜ん・・・まだまだ勉強がたりないな〜・・・)

自分の知識不足に、思わず心の中で苦笑いしてしまう。

コンクール後、こうして月森と付き合うようになって今まで以上に音楽の勉強をがんばってはいるのだが、やはりまだまだというところなのだろう。

「香穂子?どうかしたのか?」

「あ、ううん。そっか・・・そういう曲名なんだ。曲自体も名前も初めて聞いたよ」

「確かに、音楽に関わっていないとあまり耳なじみのない曲かもしれないな」

「そうなんだ。」

月森の言葉にふむふむと頷く香穂子。

「今の曲に興味があるのだろうか?」

「うん。なんか耳に残って・・・私も弾いてみたいなって思ったんだ」

「そうか・・・」

香穂子が自分の弾いた曲に興味をもってくれたのがうれしかったのだろう、月森の表情に笑みが浮かぶ。

「そうだ、この曲の楽譜なら駅前通にある楽器店に置いてあったはずだ。もし君が弾こうと思うなら、帰りに寄っていかないか?」

「え、いいの?」

「ああ。それと、家にこの曲の入ったCDがあったはずだから、探して持ってこよう」

「わ〜・・・ありがとう!」

「いや、君がこうして色々な曲に興味を持ってくれるのは俺も嬉しいから」

少し照れくさいのか、月森はやや視線をそらしてそう返した。

それから暫く練習をした後、二人は楽譜を買うために駅前通へと繰り出したのだ。

 

 

「無事に見つかって良かったよ〜」

購入した楽譜を手に満足顔の香穂子。探していた楽譜も無事に見つかり、二人は楽器店を後にした。

「明日にはCDを持ってるから。今日は譜読みをしておくといい」

「うん。わざわざありがとうね」

嬉しそうな顔でお礼を言う香穂子に、月森も穏やかな笑みを向ける。

その後、二人はしばらく駅前通りを目的もなく歩いていた。

そして、ゲームセンターの前を通りかかった時、数人の女子高生がプリクラの機械の前で賑やかに騒いでいるのが目に入ってきた。

「あ、プリクラだ」

「プリクラ・・・?」

「うん。そういえば、最近撮ってないなぁ・・・」

しみじみ呟く香穂子だが、片や月森の方は怪訝な顔をしている。

「・・・どうしたの?」

「いや・・・そのプリクラとは何をするものなんだ?」

「へ?」

月森から帰ってきた言葉に、香穂子が驚いたような声を上げる。

「月森君、プリクラ知らないの?」

「その・・・名前は聞いたことがある気がするんだが・・・」

「そっか。えっとね・・・」

香穂子は鞄の中から手帳を取り出すと、プリクラの貼ってあるページを開いて月森へと見せた。

「これは天羽ちゃんと冬海ちゃんと取ったやつなんだけど・・・あの機械で取った写真がこういうシールの形で出てくるんだ。文字入れたり色々加工したり出来て楽しいんだよ」

「そう・・なのか?」

「まぁ、大体撮るのは女子が主流で男子ってあまり撮らないみたいだけど・・・そうだ、月森君折角だから一緒に撮ろうよ!!」

「えっ!?」

香穂子の突然の申し出に、月森がギョッとした表情になる。

「だって、折角興味もったんだし・・・いい経験になるでしょ?」

「しかし・・・」

「それに、一度くらいは月森君と一緒に撮ってみたいって思ってたんだ。だから・・・ね?」

上目遣いにお願いされてしまえば、月森に逆らう術はない。

まぁ、どういったものか興味はあるし、香穂子の言うとおりこれも経験だと思い素直に従う事にしよう。

(香穂子と二人の写真、と言うのも惹かれるし・・・な)

 

その後、二人は機械が空くのを待ってプリクラを撮ったのだった。

楽しそうにはしゃぐ香穂子と、初めての体験に色々驚いていた月森・・・と言う風に、二人のプリクラ初体験は賑やかに過ぎていった。

そして、月森の手帳には香穂子と一緒に写ったプリクラがこっそりはられることになる。

 

 

音楽漬けの生活だった月森とごく普通の生活をしていた香穂子。

今まで関わっていた世界が違う分、自分が当たり前に知っていることが相手には新鮮で興味深いものに感じられるものなのかもしれない。

これからも、こうしてお互いの事を知りながら少しづつ成長していくのだろう・・・


管理人:はい、バカップルなお話いかがだったでしょうか?

月森 :バカップル・・・・・

管理人:それ以外の何者でもないでしょう(苦笑)とりあえず、プリクラ楽しめてよかったね。

月森 :まぁ・・・それは良かったと思う。香穂子と二人で写真をとれたわけだし・・・

管理人:そうやって、色々な経験をして二人で成長していくといいよ。

月森 :・・・・まるで親のような台詞だな

管理人:まぁ、親みたいなものですから(笑)では、次の作品もお楽しみにです。

                                    

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