お子様ゼフェル大騒動

新宇宙の初代女王を決める女王試験───その最中に起きた大騒動。それは、ジュリアス・オスカーのお約束な(?)やり取りからはじまった・・・・

「ジュリアス様、一大事です!」
「・・・・相も変わらず、騒々しいことだな」
「あっ、申し訳ありません・・・」
ため息混じりのジュリアスの言葉に、オスカーは慌てて姿勢を正した。
「まぁよい・・・それより、いったい何事だ?」
「はい。実は・・・ゼフェルのことなのですが・・・」
「・・・またゼフェルか。全く、仕方のないやつだ・・・・今度はいったい何をしでかしたのだ?」
「それが・・・その・・・」
「・・・・・?」
ゼフェルがトラブルを引き起こすのは日常茶飯事なので、今更動じることでもない(笑)
しかし言葉を濁すという事は・・・・
「重大な事態になっているのか?」
「・・・・口で説明するより、実際に見ていただいたほうがよろしいかと・・・入ってくれ」
オスカーがドアの外に声をかける。
「えーっと・・・お邪魔しますよ、ジュリアス」
ドアが開いて入ってきたのは、何故かゼフェルではなくそのお目付役のルヴァである。そして───
「これは───!?」
ジュリアスの表情が驚きに変わる。
ルヴァが腕に抱いていたのは、すやすやと寝息を立てて眠っている幼い子どもだったのだ。おそらく3,4歳ほどであろう、白銀の髪と浅黒い肌の子ども・・・・
「・・・ゼフェル、か?」
「ええ・・・間違いなく、ゼフェルです」
私も驚きましたよ〜・・・と、言葉とは裏腹にマイペースなルヴァの口調に頭を抱えるジュリアスであった。

「本当に、これがゼフェルなんですか!?」
集いの間にランディの声が響く。
ジュリアスの召集により、守護聖全員と王立研究院のエルンスト、そして学芸館の教官3名が宮殿に集まっていた。
ランディ・マルセル・ティムカ・オリヴィエが、ゼフェルを抱きかかえたルヴァを取り囲んで思い思いに感想を言い合っている。
「うわ〜、ゼフェルってばかわいい寝顔してる〜・・・ね、ティムカ?」
「ええ、ほんとにかわいらしい寝顔ですよね」
「普段のゼフェルは、可愛げなんてま〜〜ったくないけどな」
「そ〜お?私は結構かわいいとこあると思うけど??」
「・・・・そなた達、静かにせぬか」
「あ、すいませんジュリアス様!」
ジュリアスがたしなめられランディが慌ててかしこまる。
「・・・でも、一体何が起こったんですか?」
「それは、ルヴァが説明してくれる・・・・ルヴァ、頼む」
ジュリアスの言葉にうなずくと、ルヴァは状況を説明し始めた。
「今日は、ゼフェルに本の整理を手伝ってもらう約束だったんです。ですが、あの子の事だからまた逃げられてしまうと思いましてねー、私の方から迎えにいったんですよ。
そしてゼフェルの館の前についた時、突然中から泣き声がして・・・・驚いて館に入ると、ベッドの上でこの子が泣いていた、というわけです。
どうやら、体だけでなく中身の方も幼児化してしまっているようで・・・今のゼフェルは完全に子どもになってしまっていて、私達のこともわかっていないようなんですよ。ですから、原因を調べるにしてもゼフェル本人から何があったかを聞くことができないというのが現状でして。はぁ〜・・・困りましたねぇ」
本当に困っているか?と思うようなのんびりとした口調のルヴァの説明を聞き、事態を遠巻きに見ていたセイランがため息交じりで呟く。
「やれやれ・・・つまり僕達で、ゼフェル様が小さくなった原因を突き止めろって事かい?」
「まぁそう言うなセイラン。このままほっとく訳にもいかんだろう?こののままじゃゼフェル様も気の毒だしな」
「それはそうだけどね・・・」
「それで、頼みの綱の王立研究院はどう考えてるんだ?エルンスト」
ヴィクトールに矛先を向けられエルンストが口を開こうとしたその時、ルヴァの腕の中でスヤスヤと寝ていた騒ぎの張本人であるゼフェルが、目を覚ましたのかもぞもぞと動き出した。
「う〜・・・?」
「おや?ゼフェル、起きたんですかー?」
「あらら、騒がしくて起きちゃったか。・・・ねぇ、ルヴァ。ちょっと私にもこの子抱っこさせてくんない??」
ルヴァの横にいたオリヴィエが、にこやかに笑いながらルヴァの肩にポンッと手を置く。ただでさえお子様メンバーをからかうのを面白がっているオリヴィエにとって、今の小さくなったゼフェルはまさに格好の標的のようだ。
「あ〜、やめたほうがいいと思いますよ。今のゼフェルは・・・」
「ちょっと位いいじゃない。ほら、ゼフェルこっちおいで〜♪」
「あ・・あの、オリヴィエ〜」
「ただでさえ小さいってのにこんなになっちゃって〜・・・ほれほれ♪」
オリヴィエは、おろおろしているルヴァからひょいっとゼフェルを奪うと楽しそうにぷにぷにっとほっぺたをつついている。すると、まだ目覚めきっていないのか眠そうにしていたゼフェルの目がぱちっと開かれ───
「ふ・・・ふぇ〜〜!!」
みるみる涙目になったかと思うと、突然ゼフェルが大声で泣き出したのだ。
「ちょ、ちょっと!なんでいきなり泣き出すのよ〜!!」
「オリヴィエ様がほっぺたつついたりするからですよ!」
「いや、いきなり目の前にド派手な極楽鳥がいたから驚いたんじゃないのか?」
「うっさいよ、そこの師弟コンビ!!ほらゼフェル、高い高〜い♪」
辺りに響くような大声で泣くゼフェルを、オリヴィエは慌ててあやしにかかる。が、ゼフェルはちっとも泣き止まずかえって泣き声が大きくなるばかり。
あまりに大声に、思わず耳を塞いでいる者までいる。
「あのですね〜、今のゼフェルにとっては、いきなり知らない場所に連れてこられて、知らない大人に囲まれてしまっているという状況な訳ですから・・・不用意に刺激すると泣かれてしまうんですよ」
「ルヴァ〜〜!!あんた、そういうことは早く言ってよね!!」
「言おうとするまえに、オリヴィエがゼフェルを抱き上げちゃったんじゃないですか〜〜」
「いまさら言い合っても仕方ないだろう・・・オリヴィエ、とにかくさっさと泣き止ませろ!うるさくてかなわん!」
「わかってるってば!そんなに言うならオスカー、あんたがあやしてよねっ!」
「なに!?」
おっ、おいちょっと待て!!と慌てるオスカーへ「はい、パスッ!」といってオリヴィエがゼフェルを強引に手渡した。
火のついたように泣きじゃくるゼフェルをなんとかなだめようとするオスカーだが、泣き止むどころか、手足をじたばたさせて嫌がっている。
女性に関しては百戦錬磨のオスカーも、子どもの相手(?)はむずかしいらしい。
「お・・おい坊や。ほらほら、いい子だから泣き止んでくれ、なっ?」
いつもの余裕たっぷりな態度はどこへやら、何とか泣き止ませようと必死にゼフェルをあやしているオスカーの姿がおかしかったのか、それを見たランディが思わず噴出してしまった。
「・・・・ランディ。そんな風に笑うってことは、お前はゼフェルを簡単に泣き止ませられるんだな??」
「へ??」
ランディに笑われたのが面白くなかったのだろう、オスカーがじろっとランディをにらむ。
「・・・そうだな。同じお子様グループだし、お前のほうが適任だな。」
「オ・・・オスカーさま!?」
「・・・お前が泣き止ませてみろっ!」
たじろぐランディに無情に言い放ち、オスカーはゼフェルをひょいっとランディへ手渡した。当然、ランディは大慌てだ。
「わわっ、ちょっ・・・いたたたっ!!ゼフェル、暴れるなって〜〜」
嫌がってじたばたと暴れるゼフェルにポカポカと叩かれ、ランディが悲鳴を上げる。さすが自他共に認める犬猿の仲・・・小さくなってもそれは変わらないようである(笑)
「いたっ!!髪引っ張るなよ〜〜〜・・・マ、マルセル頼むっ!!」
あまりのゼフェルの暴れっぷりにさじを投げたランディは、とっさに横にいる筈のマルセルへとゼフェルを渡した・・・はずだった。
「・・・・え?」
手渡した相手はなぜか自分よりも背が高くて・・・・恐る恐る見上げると、そこにいたのはマルセルではなく、闇の守護聖クラヴィスだったのだ。
当のマルセルはというと、ちゃっかりと巻き込まれる前にクラヴィスの後ろに逃げていた模様である。
(ど・・・どうしよ〜〜〜、よりによってクラヴィス様に渡すなんて〜〜)
冷や汗タラタラなランディとは反対に、クラヴィスは泣きじゃくるゼフェルを受け取っても動じる様子もない。それどころか,抱き上げたゼフェルにいつもの調子で話しかけたのだ。
「・・・・怯えずとも、ここにはお前を傷つける者は誰もいない。安心して眠るといい」
いつものように落ち着いたトーンで語りかけるクラヴィス。その言葉が通じたのか、闇のサクリアの影響か、はたまた泣きつかれただけなのか、泣きじゃくっていたゼフェルが徐々におとなしくなってきた。
まだ若干ぐずり気味だがようやく落ち着いてきたゼフェルに、一同ほっと胸をなで下ろすのであった・・・・




管理人  :さぁ!始まりましたアンジェ連載第1弾!一体ちっさくなったゼフェル様はどうなってしまうのでしょうか?
       そもそも、なぜゼフェル様は小さくなってしまったのか?
       すべての謎はこれから明かされていきます!!
ルヴァ   :ええっと・・・ちなみに小さくなってしまったゼフェルは誰が面倒を見るのでしょうかねぇ・・・?
管理人  :ルヴァ様?それは言わなくても大体予測できると思いますよ?(笑)
       では、あまり皆さんをお待たせせずに続きがお届けできるよう頑張ります!!
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