教えて守護聖様!
聖獣の宇宙に守護聖が揃い、最後の試練を乗り越えてから一月ほどが経った。
エンジュは聖天使として聖地に残る事になり、守護聖達と共に聖獣の宇宙の為に頑張っている。おかげで、聖獣の宇宙も安定の兆しを見せ始め、穏やかな日々が続いていた。


「ふぁぁ〜〜〜〜〜・・・・眠みぃ・・・」
執務室の椅子にもたれかかり、レオナードは大あくびをしながら手にした書類を机の上へポイっと放りだした。
首座の守護聖という立場ながら、同じ立場である神鳥の光の守護聖ジュリアスとはまったく正反対の不真面目な執務態度のレオナードは、事実上のまとめ役を担うヴィクトールに頻繁にお小言をもらっている。
一応期限までには仕上げているのだが、いかんせんギリギリまで溜め込んでまとめて片付ける・・・というやり方なので、生真面目なヴィクトールには危なっかしく見えるようだ。
実際、今も溜まってる仕事を片付けるよう念を押され、こうして片付けていたところなのだ。
「ま、大方片付いたしちょいと昼寝でもすっかな・・・・」
ちょうど一段落付いた事もあり、いつものように一眠りしようとレオナードが大きく伸び
をしたその時、コンコンとドアをノックする音が聞こえてきた。
「誰だ?開いてるぜ」
「レオナード、回覧もって来たぞ〜」
ドアを開けいつものように元気いっぱいに入ってきたのは、ユーイだった。
パタパタと机のところまでやってくると、持っていた書類をレオナードへ差し出す。
「急ぎの内容だから、すぐに読んで次へ回せって言ってたぞ」
「へいへい、分かりました・・・」
めんどくさそうにそう言って、ユーイから書類を受け取るレオナード。
「・・・ん?なんか妙に浮かれてるみてーだな・・・なんかいい事でもあったのか?」
いつも楽しそうにしているユーイが、いつも以上にウキウキと楽しそうにしている事に気付き、レオナードがそんな質問を投げかける。
「ん?だって、今日エンジュが帰ってくるだろう?明日の土の曜日に執務室に顔を見せに来てくれるかもしれないし。それに、日の曜日には一緒にセレスティアに遊びに行く約束してるんだ。」
「・・・そりゃ楽しみな事で」
ホントに嬉しそうな顔で答えるユーイに、レオナードがごちそうさまとばかりにため息をつく。
聖天使に選ばれたという事もあるが、エンジュが聖地に残ったのはユーイと恋仲になった事も理由の一つだった。
微笑ましいほのぼのカップルな二人を、聖獣の守護聖はもちろん神鳥の守護聖達も温かく見守っている。
「ま、お前らお子様カップルのほのぼのデートなんざ、俺様には興味ないけどな」
「お子様はひどいぞ。俺達もう子供じゃないんだから」
レオナードの言葉に頬を膨らませてむくれるユーイ。
「俺様から見ればまだまだガキんちょだっての。大体、アイツに「俺の嫁になれ」って言ったらしいけど、坊やにはまだ早いんじゃねーの?お前、子供のでき方知ってんのか〜」
面白がって、まるっきりセクハラ親父な発言でからかうレオナード。しかし、次の瞬間ユーイの口からでた言葉に思い切り固まってしまう事になる。
「それくらい知ってるぞ。コウノトリが運んでくるんだろう?」
「・・・・は?」
自信たっぷりに言うユーイに、レオナードは目を点にする。顔を真っ赤にしてうろたえる姿を想像していたのに、全く予想外の答えだ。
「今・・・・なんつった?」
「だから、コウノトリが運んでくるんだろう?」
「・・・・・」
念のために聞きなおしたのだが、どうやら聞き間違えではなかったらしい。
「おい、ユーイ。それって誰から聞いたんだ?」
「じいちゃんが言ってたぞ。夫婦仲良くしていたら、時期をみてコウノトリが子供を連れてきてくれるって」
(一体何教えてるんだ、こいつのジイさんは・・・)
そんな事を内心でぼやきながら、レオナードは思わず頭を抱えてしまう。
よもや、今時そんな事を信じているとは思いもよらなかった。
そんなレオナードの様子に気がつくこともなく、ユーイは
「あれ?でも聖地って女王陛下の作る障壁で守られてるし・・・レオナード、聖地にコウノトリって入ってこれるのか?」
などとのん気にきいてくる。
「あのなぁ、そんなの例えに決まってんだろ!大体、一日にどんだけ赤ん坊が生まれてると思ってるんだよ。いちいち鳥が運んでたら空中赤ん坊連れた鳥だらけだろうが。そもそも、お前赤ん坊抱えて空飛んでる鳥なんて見たことあるわけ?」
珍しく理論的(?)な発言をするレオナードだが、ユーイからの返答に再度固まる事となる。
「じゃあ、赤ん坊はどこから来るんだ??」
「っ・・・そ、それはだなぁ」
至極当然なユーイからの質問に、さすがのレオナードも口ごもってしまう。まさか、聖地にきて「大人が子供にされて困る質問NO、1」をぶつけられるとは思ってもいなかった。
「なぁ、レオナード。どっから来るんだ?」
「ダァ〜!うるせぇ、知りたきゃ自分で調べろっ!」
ダメ押しとばかりに聞いてきたユーイに、レオナードは大声で怒鳴り散らした。
「教えてくれてもいいのに・・・何でそんなに怒るんだ?」
「・・・っ、とにかく、オレ様はお前が持ってきた至急の回覧を見たりしなくちゃで忙しいんだよ。どーしても知りたきゃ、他の奴に聞くか自分で調べろ」
ほら、帰った帰った・・・と、追い立てるレオナードに納得いかないというような様子のユーイだったが、これ以上言っても無駄だと察したのか、素直にレオナードの執務室を後にするのだった・・・


翌日、フランシスの部屋では休憩時間にお茶会が開かれていた。
メンバーは、ティムカ・メル・ユーイ・セイラン・チャーリーに、部屋の主であるフランシスだ。
「──って事があったんだけどさ、調べろって言われてもどう調べるのかよくわからなくて・・・皆が知ってるなら教えてくれないか?」
ユーイの言葉に、まったりとお茶をしていたその場にいた全員が凍りつく。
疑問の解消しないユーイは昨日のレオナードとのやり取りを説明したのだが、当然ここにいるメンバーもその質問には困ってしまう。
(うわ〜・・・・まさか今時こんな純粋培養なお子様がおるとは思わんかったわ)
(・・・・やっぱり、ユーイは面白い感性をしているね)
(こ、困りましたね・・・・なんて説明したらいいんでしょうか・・・?)
(ユーイってば、すごく純粋なんだな〜・・)
(まったく、レオナードも困ったことをしてくれましたね・・・)
それぞれ思い思いの感想を胸に抱きつつ、なんと説明したらいいかと思案する一同。
「ユーイ、故郷の惑星にいた時に近くで子供が生まれたりはしなかったんですか?」
「う〜ん・・・港に来る船に子供が乗ってた事はあったけど、近所にいた子供は俺と同じくらいの年の奴ばっかりで、小さい子供っていなかったんだ。それに、同じ年代の奴は町を出て行ったりしてて少なくなってたし・・・」
とりあえず、というようにティムカが口にした質問に、ユーイが少し考えてから答える。
どうやら、環境的に自分より下の小さい子供がいなかった事と、同年代の若者も町を出て行っていた事で、「こうのとりが〜・・」という話を信じたままだったらしい。
すると、暫く何か考えていたフランシスがゆっくりと口を開いた。
「ユーイ、もしどうしても気になるのなら、ルヴァ様に伺ってはどうですか?何しろ「大地の知恵」を司っていらっしゃるわけですし、教えを請うのに一番良い方だと思いますよ」
「そうか!それが一番いいかもしれないなっ!」
納得してウンウン頷くユーイに、ニコニコと笑みを浮かべるフランシス。
見事に矛先をそらしたフランシスに、その場にいた全員がこんな思いを抱いた。
(フランシス・・・恐るべし)

その後、フランシスのアドバイスに従いユーイが神鳥の宇宙の聖地でルヴァに質問をぶつけたことで、その場にいたゼフェルも巻き込みさらに騒動は大きくなったとか・・・・


〜おまけ〜
後日、聖獣の聖地の王立研究院では──
「まったく、ユーイは相変わらず色々と騒動を起こしてくれるな・・・まぁ、レオナードにも原因はあるようだが・・・」
「そうですね・・・しかし、執務で神鳥の宇宙へ出かけていて助かりましたね。もし聖獣の聖地にいてお茶会へ参加していたら、我々にも例の質問が向けられていたでしょうし」
「まったくだな」
今回の騒動に巻き込まれずにすんだヴィクトールとエルンストが、しみじみとそんな会話を交わしていた・・・・


管理人 :アホな話ですいません。笑って許していただけたらと・・・
ゼフェル:フランシスー!!どこだ!!
管理人 :おや?ゼフェル様、どうしたんですか慌てて・・・
ゼフェル:どうもこうも、フランシスがルヴァに矛先向けやがったせいでユーイがあんな質問するから、ルヴァの奴倒れちまったんだぞ!!どーすんだよ!!
管理人 :それは・・・・(汗)
ゼフェル:一言いってやらねーと・・・・いや、そもそもの原因はあの不良中年か・・・
管理人 :ユーイはいいんですか?
ゼフェル:後で言い聞かせておく!(パタパタと走り去っていく・・・)
管理人 :・・・・そもそもは、こんな話考えた私が原因・・・なんだけどな。たぶん・・・
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