「ぜってーおかしい・・」
土の曜日の午後、宮殿の中庭で座り込みながら、神鳥の鋼の守護聖ゼフェルは、頭を抱えていた。
と言うのも、今朝から他の守護聖達の様子がいささかおかしいからだ。
夕べは、次の日が休みという事でついつい徹夜でメカをいじっていたのだが、明け方に軽い爆発を起こしてしまった。
当然、朝一でジュリアスに呼び出される事になってしまった。
まぁ、ここまではいつもの事と言えるのだか・・問題はこの後。
いつもなら、ここでジュリアスから長々お小言を食らう所なのだか、「怪我がなかったのならよい・・・次は気をつけるように」と、簡単な注意で終わってしまったのだ。
しかも、明らかに色々言いたいのをこらえている・・・といった感じが伝わってきて、それが余計に恐ろしく感じてしまう。
それだけでもおかしいのに、いつもなら一緒になってお説教してくるオスカーも特に何も言ってこなかった。
追い討ちをかけたのは、首をかしげながらジュリアスの執務室を出た後宮殿の廊下で出会ったランディだ。
ゼフェルが騒ぎを起こしたのを知っていたようなのだが、いつもならジュリアスからのお説教にいらだってるゼフェルへさらに小言を言ってくるランディも、「次は気をつけるんだぞ」と、やはり簡単な注意をしただけで立ち去ってしまった。
好んでお説教をされているわけではないが、あまりにもいつもと違いすぎで違和感がぬぐえない。
「・・・ったく、気味悪いったらねーぜ・・・」
「何が気味悪いんだ?」
「うわ〜〜っ!!」
思わずつぶやいた言葉に前触れもなく言葉を返され、思わず声を上げるゼフェル。
声のしたほうをみると、そこには聖獣の風の守護聖であるユーイが立っていた。
「テメッ・・・いきなり声かけんな!!びっくりすんだろうが!」
「あ、驚かせたのか?ごめんな」
怒鳴られて、ユーイは隣に腰掛けながら素直にゼフェルへ謝った。が、やはり気になるのか、再び同じ質問を投げかけてくる。
「で、何が気味悪いんだ?何かあったのか?」
「別に、オメーには関係ねぇよ」
「あ〜、ゼフェル様そういう言い方は良くないぞ。それに、悩み事は誰かに話してみるとすっきりするっていうだろう?」
「だ〜〜っ、うるせぇなぁ!!」
がぁっと怒鳴って威嚇するゼフェルだったが、ユーイはしつこく食い下がってくる。根負けしたゼフェルは、自分が「気味が悪い」といっていた理由をユーイへと説明した。
話を聞いたユーイは、「なるほど」と納得した様子で頷いている。
「う〜ん、確かになんかおかしいと思うぞ?けど・・・」
「けど、なんだよ?」
「怒られないなら別にいいんじゃないか?それとも、ゼフェル様は怒られたほうがいいのか?」
「んな訳あるかっ!!ただ、今まで散々説教たれてた奴らが何も言わなくなったら気味悪いだろうが!」
的外れな答えを返すユーイに、再び声を荒げるゼフェル。どうやら、神鳥・聖獣関係なしに風の守護聖とはつくづく相性が悪いらしい。
思わずため息をつくゼフェルに、ユーイは「何で怒るんだ??」と頬を膨らませている。
「そんなに気になるなら、理由を本人に聞いたほうが早いんじゃないか?」
「はぁ?それができりゃ苦労しねーだろ」
「何でだ?その方がすっきりするし、案外大した理由じゃないかもしれないぞ。『案ずるより生むがやすし』っていうしな」
(だから、その年寄りくさい発言はやめろ・・・・)
おじいちゃん子な為か、ユーイはこうしたやや古めかしい言い回しをすることが多い。そんなところも、ゼフェルがユーイを苦手とする理由であったりするのだが・・・
ゼフェルが再び盛大なため息をついたその時、タイミングよく宮殿のほうからランディが歩いてくるのが視界に入ってきた。
ユーイもランディに気がついたらしく、「ちょうどいいや」といいながらすっと立ち上がる。
「せっかくタイミングよくランディ様が通りかかったんだから、理由を聞いてみればいいんじゃないか?」
「いや、それはいいって──」
「お〜い、ランディ様〜〜!!」
ゼフェルが止めるのも聞かず、ユーイは大声でランディに呼びかけてしまう。
(こいつは〜〜〜〜〜!)
勝手に話を進めていくユーイに頭を抱えるゼフェルだが時すでに遅し。ユーイの声でこちらに気付いたランディが、足早に二人の下へ駆け寄ってきた。
「やぁ、ユーイ!こっちに来てたんだね。ゼフェルと一緒なんて珍しいな・・・何を話してたんだい?」
相変わらずのさわやかスマイルを浮かべながら、ランディはいきなり核心に触れてくる。その言葉に、ユーイが待ってたとばかりに口を開いた。
「ゼフェル様が、何で今日はみんないつもみたいに怒らないのか、って気にしてるんだ」
「テメッ、なにそんな直球ストレートな聞き方してやがんだ!!」
そのまんますぎるユーイの言葉に、ガバッと立ち上がり思い切り怒鳴るゼフェル。一方のランディは、一瞬キョトンとした顔をしたが、すぐに意味を理解したらしくクスクスと笑い出した。
「あはは、その事か。それなら、これから一緒にくれば理由がわかるよ。実は、ちょうどゼフェルを呼びに来たとこれだったんだ」
「は?俺を?」
「うん。ユーイも一緒にきてくれよ」
「ん?俺もなのか?」
「ああ、せっかくこっちに来てるんだし」
ほら、早く!とランディに促され、ゼフェルとユーイは不思議そうに首を傾げつつランディの後を追って歩き出した。


ランディが向かったのは宮殿の広間だった。そして、そこにはなぜか他の守護聖達、さらには女王陛下と補佐官までがそろっていたのだ。
「な・・・なんでこんなに集まってんだ??」
予想外の展開に目を丸くするゼフェルに、女王陛下がニッコリと微笑みこう告げた。
「ゼフェル、お誕生日おめでとう♪」
「・・・へ?」
(あ、そういや今日は俺の誕生日じゃん!!)
言われてようやく思い出したが、今日は6月4日──自分の誕生日だ。
驚くゼフェルに、ルヴァが事情を説明してきた。
ゼフェルの誕生日の祝いをしようという話になったのだが、あらかじめ伝えておくと「そんなの面倒くさいからいい」といわれそうだったので、こっそり準備して驚かそうという事になっていたらしい。
よく見ると、用意されたテーブルの上にはたくさんご馳走が並べられている。
そこまで話を聞いたところで、勘のいいゼフェルはあることに気がついた。
「ひょっとして、今日ジュリアスやランディがうるさく説教しなかったのって・・・・誕生日だったからか!?」
「ええ。せっかくの誕生日ですから、今日くらいは怒るのはやめてあげようと私が皆さんに言っておいたんですよ〜」
いつもののほほん笑顔で言ってくるルヴァに、思わずガクッと肩を落すゼフェル。
「あのな〜〜、変な気の使い方すんなっての!!今まで散々小言言ってた奴が急に言わなくなったらかえって気味悪いって!!」
散々やきもきさせられた鬱憤を晴らすように、ゼフェルはがぁっとまくし立てる。(いささか言いすぎではあるが・・・)
「おや、いつもはお小言をもらうと不機嫌になるのに、言われなくなったらやっぱり寂しいんですか?」」
「ばっ・・・そんなんじゃねぇよ!!」
「あ、それ知ってるぞ!!そう言うの『言われてるうちが華』って言うんだよな」
プチッ
ルヴァの言葉に追い討ちをかけるようなユーイのとどめの一言に、ゼフェルがとうとう切れた。
「ユーイ・・・・ちょっとこっちこい・・・」
「な、何で怒るんだ・・?・・・・何か恐いぞ」
「いいからこいっ!!」
「うわ〜〜〜!!」
危機を感じたらしいユーイが反射的に逃げ出し、それをゼフェルが追いかけ始め広間ではしばらく二人の追いかけっこが繰り広げられる事となった。
その後、ゼフェルが落ち着いて無事にパーティーを始められるまでにはしばらく時間がかかったという。


管理人   というわけで、ゼフェル様、お誕生日おめでとうございます!!
ゼフェル  ・・・・3日遅れだけどな
管理人   (ぎくっ!)えっと・・・色々忙しくて。
ゼフェル  まぁ、結局祝ってもらえなかった奴らよりは書いてもらっただけましだけどな。
たとえユーイが出張っててもさ
管理人   あはは・・・と、とにかく!おめでとうございます〜〜〜〜
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